「色を決めようと思わずに
 色に決めさせてあげなさい」



 高校の頃、文化祭の看板を皆で描いていた時のことです。
部活動終了時間となり、
毎度のように絵具を解いたパレットを排水溝に流していました。
ひとがあつまり、絵具もあつまり。
溶けた種種の絵の具は弧を描きながら混ざり合い、
ゆっくりと闇のうちへと溶けて行きました。
 混ざり合ったその色は、実に美しいものだったなと、
色は忘れてしまいましたが、そのときの感動だけは今も覚えています。